2022年10月の終わりから11月初め、6泊7日かけて信越トレイルをスルーハイクしました。最終日、ゴールの苗場山山頂で見た素晴らしい光景は忘れられません。

ロングトレイルは初めてだったので、どんな装備で行こうか、食料はどうしようかなど考えることがたくさんありました。
本記事では、悩んだ末に選んだ装備と、良かった点や反省点などをまとめようと思います。これから信越トレイルを歩こうと思っている方の参考になれば嬉しいです。
信越トレイルでの装備
はじめに装備重量は下記の通りです。
- 装備(着替え含む):7.2kg
- 食料(水1.5L含む):4.7kg
- カメラ機材:1.7kg
「ベースウェイト」でなく、個人的に分かりやすい上記の分類で測りました。行動着は含まれていません。
各装備についてまとめていきます。
バックパック:マウンテンライト38

容量38L、重さ1,100g、1気室のザックです。1週間分の食料が嵩張ってパンパンだったけれど、どうにか収まりました。
買ってすぐの頃は肩ばかり重くて痛みを感じましたが、フィッティングのコツを掴んだら快適!闇雲に締めればいいってもんじゃないですね。
信越トレイルでも、どこかに違和感を感じたらこまめに調整し直すことで、特に不満なく歩き通せました。

テント:Moment DW

ダブルウォールで900g台と、快適さと軽さを両立していて気に入っています。
ただ、国内メーカー(二人の時はアライテント、キャンプではオガワを使用しています)と比べると細かい部分の作りが少し雑に感じます。1泊の使用だとあまり気になりませんでしたが、連泊だとその細かな部分がストレスに感じました。
長い旅こそ「毎日ストレスなく使えること」が重要だなと実感しました。
寝袋:エンバーⅡ

SEA TO SUMMITのキルト型のシュラフです。ダウンは撥水加工されておりコンフォート温度は2〜-4℃。
夜のテント内温度は4〜12℃とバラバラだったので、掛けるだけだったり包まったりと温度によって使い分けられるキルトタイプは大活躍でした。
ただ、結露にはかなり悩まされました。
今回学んだことは、「寒い季節は一度結露するとずっと濡れたまま」ということ。
体に巻いて体温で温めるか、晴れた日に陽に当てるなどしてどうにか乾かしていました。
撥水ダウンが結露に強いのは確かですが、乾かす間もなく連日使い続ける場合は結露させない工夫が必要だなと感じました。

ドライサック:エアストリームドライサック

ダウン類を防水するためにドライサックを探していて、エアマットのポンプにもなるこの商品を選びました。
20Lの容量は、シュラフ、ダウンジャケット・パンツ、着替えを入れても余裕があります。
テントを立てたら中身を出して、ポンプとしてエアマットを膨らませます。1つで2役だと道具が減るし軽量化にもなるので、長旅では特に助かりました。
マット:テンサーインシュレーテッド

夏はサーマレストのクローズドセルマットを使っているので、前シーズンぶりのエアマット。やっぱり寝心地がよく快眠でした。
真冬の雪上ではちょっと足りないけれど、秋のこのくらいの気温だと全く問題なし。ちなみに、2022年モデルからはR値が3.5から4.2に上がったみたいです。羨ましい。

枕はSEA TO SUMMITのエアピローに100均の適当なカバーをかぶせて使っています。
耳栓

アウトドア用に買ったけど家でも毎日使うようになった快眠グッズ。雑音は聞こえずアラームは聞こえるくらいの程よい消音性で、驚くほどぐっすり眠れるようになりました。
100均の耳栓とはフィット感も消音性も全く違います。山でも家でも旅先でも手放せません。
バーナー:P-153 ウルトラバーナー

アルストと悩みましたが、泊数が長いと燃料の計算が面倒なのでガスバーナーを選択。
燃料が尽きたら途中で買える場所もなさそうなので、余裕を持って250缶を持っていきました。結果的に使ったのは59gだけ。
1週間の旅で湯沸かしやラーメンを煮るくらいであれば110缶で十分だと分かりました。
一人だとP-153はオーバースペックに感じていて、より軽くて小さいP-115、または燃費の良いJETBOILにしようか悩み中です。
クッカー:チタンマグポット500

最初は900のチタンクッカーと300のマグ、保温ボトルを持っていくつもりでしたが、ザックがパンパンで予想以上に重くなり500ひとつに変更。
結局500で困ることはなく、マグカップにもなるのでこれひとつで十分でした。保温ボトルはできれば持って行きたかったです。

カトラリー:ゴーバイトCLICK

片手で伸縮できるのがやっぱり便利。先割れスプーンなら1本で済むので、新登場しないかなぁ〜と淡い期待を寄せています。

浄水器:マイクロスクイーズ

キャンプ場の水道水や湧水を飲む時、必ず浄水してから飲みました。
1週間歩いてみて思ったのは、浄水は毎日数回しなければいけないので、洗浄スピードが早い方がストレスがないということ。
マイクロスクイーズはミニに比べると早いけれど、もっと早いカタダインの方が良かったかも(浄水できる量は圧倒的にソーヤー製品が上ですが)。
パックはエバニューの0.9Lが1つ。もう一つを忘れたせいでこまめに水を汲まなければならず、無駄に歩いたし時間もロス。忘れ物はダメですね〜。

ヘッドライト:ビンディ

35gと軽量で、電池式でなく本体を直接充電できるのが便利です。明るさは最大200lmだけど、ほぼ100lmで使いました。
必要十分な機能を35gに詰め込んであり、信越トレイルのために新調して良かったと思っています。

ランタン:Aurora A7

白くて明るいフロントライトと落ち着く暖色のサイドライトがついています。リップクリームより一回り小さいくらいのサイズで17g。超小型で軽いです。
主にランタンとして使いながら、予備のヘッドライトにもなる(付属クリップで帽子に付けられる)ので一石二鳥です。
ビンディと同じく本体を直接充電できるので、スマホやカメラを含むバッテリー類を全てモバイルバッテリーで充電できるようになりました。
余計な荷物(専用の充電器や予備の電池)が減って管理も楽になるので、充電方法を統一しておいたのは正解でした。

モバイルバッテリー(20,000mAh)

iPhone、ミラーレス一眼、ヘッドライト、ランタンの充電用。節電を意識したこともあり、5日目に里に下りるまで20,000mAhでどうにかなりました。
人によって必要な容量は変わると思いますが、充電できるのは何日目になりそうか、計画と照らし合わせて余裕ある容量を選ぶのが良さそうです。
充電器

アンカーのNano Pro。小型軽量、USB-C×2口、急速充電対応でかなり役立ちました。
コンセントの差し込み部分を折りたためないのがネックでしたが、意外と気になりませんでした。
トレッキングポール:U.L. フォールディングポール100

左手にはカメラを持って歩くので、ポールは右手に一本スタイルです。
一本バラ売りで軽いものを探してこのポールを選びました。最初は105cmを買ったけど長すぎて100cmに交換。5cm違うだけでかなりフィット感が違うものですね。
いやー、ポールにはかなり助けられました。なかったら歩き切れなかった。めちゃくちゃ愛着が湧きました。
折りたたみ傘:サンブロックアンブレラ

レインウェアを着るほどでもない雨の時や、雨の中での設営で荷物を置いておきたい時などに便利でした。
秋なので日傘である必要はなかったけれど、これしか持っていないのでこれ。夏だと長い舗装路のセクションは日傘があった方が良さそうです。
手ぬぐい、タオル

普通の手ぬぐいと、ファイントラックのナノタオル。
ナノタオルは石鹸なしで汚れを落としてくれる優れ物です。風呂に入れない前半4日間、ナノタオルのおかげで頭皮も顔も体もスッキリできた気がしています。
その他

衛生用品やエマージェンシーセット、熊スプレーなど。ここら辺は後回しにしちゃいがちなのですが、もっと勉強して充実させたいところです。
公式ガイドブックとマップも持っていきましたが、マップだけでも4部あるのでかなり嵩張るし重くなりました。
必要な部分だけスマホで写真を撮って行くとか工夫すれば良かったです。
秋の信越トレイルでの服装
次はウェア類です。道具類より悩んだかもしれません。結果的にはこれらのウェアでかなり快適に歩けたと思っています。
キャップ:アークテリクス カルバスキャップ

以前はゴアテックスのキャップでしたが、運動量が上がると暑くなるのが嫌で通気性の良いメッシュ生地のキャップにしました。
頭がデカすぎてしっくりくるものが見つからない中、ようやく見つけたキャップです。

サングラス:スワンズ Df.パスウェイ

スポーティーすぎず普段も使いやすい形と、ずれにくい鼻パッドが気に入っています。
ヘトヘトの6日目に落として探して2時間ロス。落ちやすい場所にちょいがけしたことを激しく後悔しました(*_*)

上半身:ウール薄手+化繊シャツ

モンベルのスーパーメリノウール薄手の上に、パタゴニアの薄手の長袖シャツ。ほぼ全ての行程をこれで歩いて、風が冷たい時だけ上にソフトシェルを着ました。
止まっていると寒いくらいで、歩いているときはすごく快適。急登で暑くなったらボタンを全開にして袖もまくって歩きました。やっぱりシャツは温度調整が楽ですね。
ベースレイヤーは今まで化繊しか使ってこず日帰りでも汗の臭いが気になっていたので、信越トレイルに向けてメリノウールを新調。
6日目の夜まで洗濯できませんでしたが、こんなに匂わないものかと驚きました。
下半身:タイツ+薄手長ズボン

汗でズボンと肌がくっつく感じが嫌で年中タイツを履いています。スポーツ店ブランドの安物でサポーター機能などは無し。
その上にパタゴニアのテルボンヌジョガーズ。どこでも絶賛されている通り、本当に履き心地が抜群。軽いし全然突っ張らない。これで歩いて良かったと思っています。
靴下はウールの薄めのもの。2日目で両足の指に水脹れができてしまい(痛いタイプのやつじゃなくて良かった)、蒸れているのかな?と感じました。もっと薄手で良かったのかも。
シューズ:ホカオネオネ スピードゴート5

アルトラのローンピーク6を履いていたけれど所々気になる部分が出てきて、どうも信越トレイルを歩き通せる自信がなくスピードゴートに買い換え。慣らしてから出発しました。
ビブラムソールで滑りにくいしクッション性も抜群、フィット感もバッチリで不満なく歩き通せました。靴に心配を抱えたまま歩かなくて良かったと思っています。
レインウェア:ストライクトレイルフーディ、バーサライトパンツ

上下とも十分な耐水圧と高い透湿性を持ちながら超軽量です。上115g、下110gの合計215g。
基本的に天気が良い日しか山に行かないのでレインウェアはザックの中に眠っていることがほとんど。それならなるべく軽い方が良いと思って買ったのがこれらです。
信越トレイルも天気が良い1週間を選んだので、レインウェアを着たのは2時間くらい。それ以外はずっとザックで眠っていたので、小ささと軽さが活きました。
薄い分耐久性は低そうだけど、軽さを選んだので破れたらしょうがないと思っています。今のところ問題はありません。
保温着:ダウンジャケット、パンツ

上下ともにモンベルで、ライトアルパインダウンジャケットとスペリオダウンパンツを持って行きました。
テント場についてからは常に上下ダウンで、寒い日は寝る時も着たまま寝ました。パンツは信越トレイルで初めて本格的に使ったのですが、めちゃくちゃ良いですね。
この記事を書いている今は雪がドカ降りする真冬ですが、暖房をつけずに上下ダウンでキーボードを打っています。山でも家でも使えてコスパ良しです。
サブのウェア
他に持っていったものは下記です。
- モンベル スーパーメリノウール中厚手
- モンベル ジオラインタイツ厚手
- ウールソックス
就寝着として使いつつ、メインのウェアの替えにもなるようにと考えていました。
信越トレイルでの食料
途中での食料補給がどの程度できるか不安だったので、行動食だけ4日分、あとは全て8日分を持って行きました(結局、森宮野原駅近くにファミマがあり十分補給できそうだった)。
必要カロリーを計算してみたら一日2,800kcalだったので足りるように、そして飽きないようにできるだけバリエーションを持たせて用意しました。
朝食

朝食は同じでも飽きなそうだと思ったので、毎日シリアル。水で簡単に溶ける粉ミルクもセットです。
結局、3日目くらいで飽きました(°_°)。カリカリとかサクサクした食感がどうも嫌になっちゃったのと、寒い朝に冷たい牛乳もキツかったです。
最終日だけ余ったアルファ米(尾西の五目ご飯)を食べたのですが、すごくパワーが出る感じがしてラストの苗場山をスイスイ登れたことに驚きました。やっぱり米はパワーが出るんですかね。
栄養バランスを気にしてマルチビタミンのサプリも朝食後に飲んでいました。
行動食

下記を日数分用意して毎日食べました。
- グミ
- カルパス
- チーカマ
- ポテチ
- チョコ
- アミノ酸系サプリ
- チョコ
- ポテチ
- アーモンド&レーズン
- 柿ピー
- プロテインバー
最後まで飽きなかったのは8まで。特にカルパスとポテチは美味すぎてご褒美タイムとして楽しみに歩きました。
9〜11は飽きちゃって、残った量も多めでした。朝食のシリアル同様、カリカリ、パサパサ、サクサクみたいな水気のない食感が飽きやすかったです。
かといってしっとり系ばかりだと重さが増えるし、、、食料選びは難しいですね。
夕食

夕食も飽きないよう数種類用意して、気分に合わせて下記のような順番で食べました。
- 尾西のドライカレー
- マルタイラーメン
- カレーメシ(シーフード)
- マルタイラーメン
- カレーメシ(シーフード)
これらのメニューに毎日、乾燥野菜と大豆ミートを混ぜて食べました。振り返ってみるとカレーとラーメンばかりだけど、暖かい料理はすごく美味しくてどれも飽きませんでした。
特にカレーメシシーフードは信じられないくらい美味かったです。次のロングトレイルにも必ず持って行きます。
6日目は民宿に泊まり、素泊まりの予定だったけれど欲望に負けて豪華な夕食を頂いちゃいました。地産のイワナや山菜が本当に美味しかった。
酒は重くならないよう紙パックの赤ワイン(200ml)を2本にしましたが、少なすぎて酔えず、これなら持たなければ良かったと反省。
次はウイスキーとか度数の強いものを少量持っていこうかな、なんて考えています。
信越トレイルで持って歩いたカメラ

登山でミラーレス一眼をどう持ち歩くかはずっと悩み続けてきたのですが、信越トレイルに向けて小さめのズームレンズや三脚を購入してすごく軽くなり、困ることなく歩き通せました。
カメラ:SONY α7Ⅲ
軽くて電池持ちがよくアウトドアで使いやすそうという理由で3年前に買ったカメラ。1日撮ってもバッテリーが無くならず、信越トレイルでも大活躍でした。
レンズ:SONY FE PZ 16-35mm F4 G
ずっとTamronの28-75mm F2.8を使ってきましたが、より広角、そして小型軽量のレンズが欲しくて新調。F4だと夜が辛いですが、かなり広く撮れるようになり約200gも軽量化できたので大満足です。
マイク:SONY ECM-G1
ECM-B1Mを使ってきましたが結構な高さと長さなので登山ではちょっと邪魔でした。ふた周りくらい小さくなり音もそこそこ良いので気に入っています。
三脚:AOKA CMP163CL

登山用に、軽くてスリムでそこそこ高さがある三脚が欲しくて購入。安定性には不安があるけど、場所や風に気をつけて置けばあまり気にすることなく使えています。
ストラップ:Peak Design リーシュ
同じくPeak Designのスライドを使っていましたが、太すぎて首周りにあると邪魔に感じていました。無くしてしまったので次は細いものをと思いリーシュを選択。
細くて邪魔にならず、長さ調整もワンタッチ。アンカーリンクのおかげで付け外しも楽です。
常に左手にカメラスタイル
上記の軽量な装備を揃えたことで、カメラに三脚を付けたままストラップで首から下げ左手で支えるスタイルで110kmを歩き通せました。
前のレンズや三脚で練習がてら低山縦走した時は15kmでも厳しかったですが、大幅な軽量化のおかげで辛くなることはなかったです。
次回はより軽く、食料も改善したい

初めてのロングトレイル挑戦だったので不安が多く、色々情報収集をして準備を進めたので概ね満足できました。
装備類は軽ければ軽いほど疲れにくく一日で進める距離が増えると身に染みて理解できたし、食料も栄養バランスや飽きない工夫が大切だと痛感。
今後も色々なロングトレイルを歩いてみたいので、今回の反省を活かして少しずつ改善していきたいと思います。
本記事がこれから信越トレイルを歩こうと思っている方の参考になっていればすごく嬉しいです。お気をつけて、良い旅になりますように。
今回はざっくりと装備紹介でしたが、また別の機会に日記的に信越トレイル記録を書いてみようと思いますので、そちらも読んでいただけましたら嬉しいです。