昨年の秋、信越トレイル110kmをスルーハイクしました。事前の情報収集では延長前の80kmの情報が多く、あれこれ悩みながら110kmの計画を立てました。
本記事では、前半で信越トレイルに向けて準備したことや計画、後半で歩いた日記をまとめたいと思います。
これから歩こうと思っている方の参考になれば嬉しいです。
信越トレイルスルーハイクの計画と準備
出発2ヶ月前に地図とガイドブックを購入し、少しずつ準備を進めました。
東と西、どちらに歩くか
斑尾山をスタートして苗場山へ向かうEast Boundにするか、反対のWest Boundか。
ガイドブックによるとWest Boundの方が負担が少ないようですが、最高峰の苗場山でゴールし絶景を見た方が感動するだろうと思い、East Boundに決めました。
結果、最初楽しくて中盤辛く、ラストは感動のゴールというドラマチックな旅になったので良かったです。
日程
天気予報を見ながら10月28日〜11月3日の7日間に決めました。歩くには気持ち良い気温だし虫もいなくて、良い時期でした。もう少し早ければもっと紅葉を楽しめたかも。
1日目 チロル前登山口〜斑尾山〜赤池
- 距離:10.5km
- 参考タイム:6時間6分(※以下、参考タイムはYAMAPでの標準タイムです)
2日目 赤池〜桂池
- 距離:17.8km
- 参考タイム:7時間12分
3日目 桂池〜光ヶ原高原
- 距離:12.3km
- 参考タイム:6時間26分
4日目 光ヶ原高原〜野々海高原
- 距離:17.8km
- 参考タイム:9時間11分
5日目 野々海高原〜結東(かたくりの宿)
- 距離:25.6km
- 参考タイム:9時間32分
6日目 結東(かたくりの宿)〜小赤沢
- 距離:9.2km
- 参考タイム:3時間30分
7日目 小赤沢〜苗場山〜祓川登山口
- 距離:14.6km
- 参考タイム:8時間51分
7日目に苗場山を下りた後は近くのキャンプ場で一泊し、8日目に帰る計画にしました。
交通手段
スタート地点に車を停め、ゴール後はバスや電車を使って車に戻ることにしました。
出発時
斑尾山のレストランチロル前に駐車。
駐車場は無料ですが、事務局に連絡が必要です。電話して申し込み、詳しい使用方法を聞きました。
ゴール後
苗場山でゴールしてから出発地点の車に戻るには、良さそうな方法は2つありました。
※あくまで参考までに。バスや電車の時間などご自身でもご確認ください。
これなら小赤沢で泊まる宿に荷物を置かせてもらい、身軽に苗場山へ登れます。13時までに下山できそうなら、このプランが良さそう。
②祓川登山口へ下山→徒歩2時間で道の駅みつまた→湯沢駅前行きバスで湯沢役場前下車→穴沢河川公園で一泊→翌日、バスで湯沢駅前から森宮野原駅→電車で飯山駅→コミュニティバスで斑尾高原ホテル→歩いてすぐの駐車場へ
道の駅からのバスは夜まで運行しているので、これなら急がずに歩けます。一泊して翌日のんびり移動できるのも良い感じ。
ということで、②の予定でいて、当日いけそうなら①に変更することにしました。
結果は、現地で民宿の方に相談したところ、その日は小赤沢からのバスが出ておらず①は無理でした。プラン②になったわけですが、予定より早く下山できたので、湯沢駅〜飯山駅を新幹線移動することで当日中に車に戻れました。
装備と食料
別ページに詳細をまとめました。
食料はほぼ全てを持っていき、ラスト3日分の行動食だけを5日目の森宮野原で補充することにしました。
理由は2つあって、小さな商店とコンビニでは食べたい物が無いかもしれないと思ったのと、なるべく安く済ませたかったからです。
今思えば、そのせいで荷物が嵩張り重くなって後悔したので、多少品揃えや値段が気になっても途中で補充することにすれば良かったです。
マップ・ガイドブック・協力金
マップ(エリア別に4部)とガイドブックを公式ストアから購入。計画時も実際に歩いている時も、あって良かったです。ただ、全て持つとかなり嵩張るので、ガイドブックは必要なページだけスマホで写真を撮って行けば良ったかも。マップは苗場山に登る前に全て捨ててしまいました。
トレイル整備協力金もオンラインストアで支払えます。事前に支払えば、送られてきたタグをザックに付けて歩けます。
僕は事前には気付かず当日に駐車場の案内を見てオンラインで支払いました。歩き終わって家に帰るとタグが届いていました。付けて歩きたかった。
キャンプサイト予約
利用したテントサイト・宿泊施設は下記。
- 赤池テントサイト
- 桂池テントサイト
- 光ヶ原高原キャンプ場
- 野乃海高原テントサイト
- かたくりの宿テントサイト
- 民宿 出口屋
①〜④は公式HPから事前に予約・支払いを済ませました(信越トレイル専用のキャンプサイトは、事前予約・前払いが原則のようです)。
⑤と⑥は直接連絡して予約し、料金は現地払いでした。
ハイク中に出会った方の中には予約をしておらず困っている人もいたので、事前に済ませておくのが良さそうでした。
YAMAP有料版
全てのマップをダウンロードするため有料版にアップグレードし、オフラインでも見られるように保存。
YAMAPと別にスプレッドシートで作った計画表も、電波がなくても確認できるようにしておきました。
信越トレイル110kmスルーハイクのブログ
ここからは実際に歩いた記録を日記的に書いていきます。動画も作ったので、よりリアルな空気感はこちらで感じていただけたらと思います。
1日目:斑尾山〜赤池
- 天候:晴れ/8〜20℃
- 距離:10.5km
- 参考タイム:6時間6分
- 実際の歩行時間:4時間51分
- 休憩:1時間
出発前夜、準備はしっかりしてきたつもりだけれど、食料の買い出しやら最終確認やらで予定より遅く就寝。ワクワクと少しの不安で中々寝付けず、寝不足気味でまだ暗いうちに家を出発。道中で夜が明けてきました。
スタート地点のレストハウスチロル前に駐車。看板のQRコードから駐車場利用の登録と、協力金の納入を済ませます。
チロル前登山口
朝7時、いよいよ出発。気温は10度。日差しと急登で長袖メリノ+シャツだとちょっと暑いくらい。いきなりのスキー場の登りがキツイです。
しばらく登って見えた綺麗な雲海と、いよいよ出発したという高揚感でワクワクしながら山頂へ向かいます。
斑尾山
8時20分、信越トレイル西の起点、斑尾山に到着。
山頂から少し進むと野尻湖や妙高山を見渡せました。
万坂峠への下りもゲレンデの中を歩くような感じです。
袴湿原
万坂峠で車道を横切って再び登山道へ入り、袴湿原へ。湿地の木道を歩くのは新鮮で楽しめました。
ベンチで休憩。昨日の準備中、行動食のカロリーが足りないことに気づいて慌てて買いに行ったカルパスにかじりつきます。
カルパスにはゴールまでずっと助けられました。買ってよかった。
袴岳
11時半、袴岳山頂。展望がよく、妙高山を見ながら一息。
赤池テントサイト
ブナ林を抜け林道を少し歩いて、15時に赤池到着。
駐車場と休憩場のような建物もありトイレも綺麗。水を補給してテントサイトへ。
思ったより早く着いたのと楽しみにしていた分もっと歩きたかったけど、先は長いのでのんびり過ごすことに。赤池を眺めたり寝転んでガイドブックを眺めたりしてから、夕飯のドライカレーを食べワインをちびちび。
10月末にもなると17時過ぎには暗くなってきてやることもなく、早めに就寝。夜中に雨が降ってきて目覚めましたが、耳栓をつけたらぐっすり眠れました。持っていって良かった。
2日目:赤池〜桂池
- 天候:曇り時々晴れ/7〜12℃
- 距離:17.8km
- 参考タイム:7時間12分
- 実際の歩行時間:6時間18分
- 休憩:1時間21分
5時半に目覚めてテントを出ると、夜に降っていた雨は上がりうっすらと霧。
朝食のシリアルを食べてトイレで水を補給し、少し遅めの7時50分に出発。昨日の倍の20kmを歩くので気合を入れてスタートです。
出発してすぐはブナやミズナラなど紅葉樹の中、整った遊歩道を歩きます。雨上がりの幻想的な紅葉の中を歩くのが気持ちよく、最高の朝。
沼ノ原湿原
50分ほど歩くと沼ノ原湿原。秋なので草花はありませんが、湿地の独特な雰囲気が妙に落ち着いて心地よかったです。
湿原を抜けると高台に。曇っていて展望は微妙だったけれど、晴れれば妙高山や日本海も見えるようです。
希望湖
10時に希望湖へ着く頃には時折太陽が見えていたので、濡れたテント乾かしながら休憩。
旅行中の老夫婦とおしゃべりしたり、記念写真の撮影を頼まれたりと良い時間を過ごしました。ずっと一人で歩いていると人との会話がありがたく感じます。長く休みすぎたのでここからはペースアップ。
毛無山、涌井新池を過ぎると畑の中の砂利道と道路歩き。50分ほどで涌井集落に着き、再び山道へ。
富倉峠
富倉峠で景色を眺めながら小休憩。
少し進むと、上杉謙信が兵を休ませたという「大将陣跡」があります。
数百年前まで人同士が殺し合っていたんだなぁ、先祖あっての現代の平和なんだなと考えさせられました。ずっと山を歩いていると感受性が高くなる気がします。
黒岩山
その後は黒岩山までがとにかくキツい。杉林で薄暗く、地味な登りが長く続いて肉体的にも精神的にも参りました。アミノ酸や行動食を摂り続けながらようやく山頂の東屋に到着。
飯山盆地を眺めながら一息つきます。ブラックサンダーがめちゃくちゃ美味い。一日一個の計算ですが、もっと持てば良かったです。
元気を取り戻して今日のゴール桂池まであと少し。
太郎清水
40分ほど歩いて車道に出たところに「太郎清水」という湧水があるので給水。
湧水もキャンプ場の水道水も、浄水してから飲みます。
桂池テントサイト
桂池を眺めながら少し歩くとテントサイトに到着。
小屋とトイレがあり、小屋に置いてあるノートにはトレイルマジックへの感謝の言葉や旅の感想などが綴られていました。
今日の夕飯は棒ラーメン。荷物がパンパンで500mlサイズのクッカーしか選べなかったため、麺を一束ずつしか茹でられません。装備を見直してもう少し大きなクッカーを使いたいところ。
寝袋が湿っているので体に巻き付けて体温で乾かしながら過ごします。はっ水ダウンなので乾けばフワフワに戻るんですが、気温が低くいかんせん乾きにくいです。
ご飯が終わったら早めに就寝。スマホの電波が弱かった(ソフトバンク)ので、あらかじめKindle本をダウンロードしておいたのは正解でした。
桂池テントサイトはすぐ横が道路なので、たまに車が通ります。ここでも耳栓が役立ちました。
3日目:桂池〜光ヶ原高原
- 天候:曇り一時雨/5〜13℃
- 距離:12.3km
- 参考タイム:6時間26分
- 実際の歩行時間:5時間51分
- 休憩:1時間39分
今日も朝は曇り。朝食を済ませ準備運動をして8時半にスタート。
仏ヶ峰
テントサイトを出てしばらくは平坦な道を気持ちよくハイキング。
小さな沢を渡ったり急登を繰り返しながら仏ヶ峰登山口到着。
登山口といっても、スキー場の上部で開けています。
ここからも急登を登り続け、11時過ぎに仏ヶ峰到着。展望はなくただ三角点があるだけです。
ブナ林を歩いて小沢峠を過ぎ15分ほど進むと、少し開けた休憩ポイント。
アップダウンが続いたのと行動食に飽きてあまり食べなかったからか、かなり疲れました。しっかりめに食べてエネルギー補給します。
鍋倉山
鍋倉山や飯山盆地を垣間見ながら進んでいると、雨が降り出しました。てんくらAだったのに〜。レインウェアを着てカメラにはビニール袋を被せます。
レインウェアは信越トレイルに向けて新調したストライクトレイルフーディ。軽くて嵩張らないし、通気性も高くて蒸れにくいのでお気に入りです。
仏ヶ峰に続いて鍋倉山も眺望なし。足早に進みます。
黒倉山
久々に開けた山頂。雨も上がって晴れ間が見え、日本海まで見渡せました。
茶屋池
黒倉山からブナ林の中を下ると、1時間ちょっとで茶屋池。
コースからは外れますが、水の残量が少なくて池の脇のトイレで給水しました。隣の「茶屋池ハウス」に自販機がないかと期待したけれど、残念ながらありませんでした。
光ヶ原高原キャンプ場
16時前に今日のキャンプ場に到着。他に誰もおらず、静かなキャンプサイトでのんびり過ごします。
今日の夕ご飯はシーフード味のカレーメシ。1日目に食べた尾西ドライカレーの袋を再利用。
ソフトバンクの電波は4G1本。今日もダウンロードしてある本を読んだり、明日の計画を確認して、20時半に就寝。
4日目:光ヶ原高原〜野々海高原
- 天候:晴れ/4〜16℃
- 距離:17.8km
- 参考タイム:9時間11分
- 実際の歩行時間:7時間54分
- 休憩:1時間1分
3回目の朝食で、シリアルの食感に飽きてきました。ミルクも冷たくて寝起きには厳しいです。ホットコーヒーで一息ついて、7時出発。今日は気持ちのいい快晴。霜が降りています。
キャンプ場からトレイルまで、初っ端から登り。トレイルに戻ってからは平坦で広めの歩きやすい道が続きます。
トレイルにせり出したブナが多くなってきて、くぐったり跨いだりを何度も繰り返すのに体力を奪われました。豪雪地帯ゆえのブナの形なのだとか。
牧峠
8時半に牧峠に出て、車道を15分下った場所にある水場へ。中々見つからず、かなり先まで進んだり戻ったりした挙句「多分違うよなぁ」と思いながら小さな沢に降りて給水。
後々調べてみると、しっかりとパイプで水が引かれている場所があったみたい。なぜ見つけられなかったんだろう。結局1時間もかかってしまいました。
残りの7時間、15kmの道のりを水1.5Lで歩くのはかなり不安。ボトルを1つ忘れてきたのが悔やまれます。なくなったら途中の池で汲むつもりで進みます。
宇津ノ俣峠
アップダウンを繰り返して宇津ノ俣峠で休憩。峠道を風が吹き抜けてきて気持ちよく一息つけました。
宇津ノ俣峠を過ぎると日本海側を見渡せます。天気に恵まれ、景色を楽しみながら歩けました。
春と秋の晴れの日には、鷹が上昇気流に乗って螺旋状に昇ってく「鷹柱」が見れるらしいです。歩くのに夢中で観察するのを忘れちゃいました。見てみたかった。
伏野峠
引き続き地面を這うブナを跨いだり、細かなアップダウンによって疲れながらようやく伏野峠。クーラーボックスがあり、中には水が。
シーズンも終わる頃なのに補給してくださった方々に本当に感謝です。水が無くなりかけていたので一本いただきました。
伏野峠からは急登。4日目になり、一日の後半の登りがかなり辛くなってきました。ペースを気にせず、とにかくゆっくり登るようにしたらかなり楽。その後はキャンプ地まで3時間半くらい、変わらぬ景色の中を無心で歩き続けます。
野乃海高原キャンプ場
深坂峠から野乃海湿原を抜けて15時半にテントサイト到着。
炊事場とトイレが備わっています。20張分のサイトがありますが、誰もおらず今日も貸切。
昨日の後半から水の残量を気にし続けていたので、久々の水道に感謝。煮沸か浄水が必要と注意書きがあったので、浄水して使いました。
明日は今回の旅で最長距離を歩く日。棒ラーメンと最後のワインを味わって早めに就寝。この夜がいちばん冷えて、テント内4℃。上下ともダウンを着て寝ました。
5日目:野々海高原〜結東
- 天候:晴れのち雨/5〜15℃
- 距離:25.6km
- 参考タイム:9時間32分
- 実際の歩行時間:10時間15分
- 休憩:56分
飽きたシリアルをどうにか食べて、まだ暗い6時に出発。
天水山
途中で朝日を見ながら1時間半ほどで天水山。遠くにゴールの苗場山が見えて、結構きたなぁとしみじみしながら一息。
ここからは森宮野原駅を目指して一気に下り。登り返しが一度あり、それだけでもうキツいですが、町での昼食を楽しみに踏ん張ります。1時間半ほどで林道に出て、のどかな道を歩いて森宮野原へ。
森宮野原駅
駅内で食堂の看板にそそられましたが、残念ながらランチ営業は火・木・金曜日の11〜14時。
駅の前に小さな商店があり、ここでサラミを補給。さらに徒歩3分くらいのところにヤマザキYショップ。行動食用にグミとポテチ、昼食の鶏天そばとジュースを購入。
お店のおばあちゃんが優しくて、「店内で食べていいよ」と声をかけて下さりました。汗臭いのが申し訳なく遠慮すると「外で食べるならこれに座って」と箱を貸してくれました。ありがたく座って、久々にインスタントでない料理をいただきます。
もう、めちゃくちゃ美味い。サイダーも沁み渡ります。最高のひと時でした。
これらのお店にラーメンやパン、行動食になるものも色々あったので、食料補給は十分できます。近くにファミマもあったし、こんなに食料を背負ってこなければ良かったなと、後悔しました。
森宮野原駅〜結東
ここからは地獄の道路歩き。約20km、峠道の舗装路をひたすら歩きます。足への負担は心配していたほどなかったけど、とにかく長くて単調!
ひたすら歩くも全く終わる気がせず、途中から雨が降り始めて気分もどんより。牧場の牛たちが癒してくれました。
スマホの電池が切れ紙地図を手に歩くも、結東目前で舗装路からブナ林へ入る道を通り過ぎ、1時間ロス。もうほんと嫌。でも歩かないと着かない。打ちひしがれながらどうにか戻り、やっと分岐を発見。
長い道の中でちょこんとある看板なので、これから歩く方は見落とさないように注意してください。
ブナ林をカクカク折り返しながら一気に下り、結東の「かたくりの宿」到着。
小学校を改築した宿で、受付のロビーに入っただけでなんだか懐かしい気分になりました。テントサイトは校舎前のグラウンド、トイレと温泉は校舎内です。
雨の中設営を終え温泉で疲れを癒し、グラウンド脇の自販機で風呂上がりのデカビタ。夕飯は2回目のカレーメシシーフード。
今日は本当に疲れたけど、いちばん心配だった一日をなんとか終えられてホッとしました。久々の人里で安心感もあり、夜はぐっすり眠れました。
6日目:結東〜小赤沢
- 天候:晴れ/9〜21℃
- 距離:9.2km
- 参考タイム:3時間30分
- 実際の歩行時間:5時間39分
- 休憩:12分
夜中降っていた雨も上がって朝は青空。濡れたテントや靴、ずっと湿りっぱなしだった寝袋も乾かすことができました。
今日は短い行程なのでのんびり支度して、10時半に出発。歩き始めてすぐ、見倉橋という吊り橋を渡ります。
映画のロケ地にもなったという、綺麗な渓流に架かる橋。平日の朝ですが観光客がちらほら見えました。
橋を渡ってからはすぐ急登。登り切ると、道路に出たり山道に入ったりしながら秋山郷の集落を進みます。
2時間ほど歩いて、サングラスを落としたことに気付きました。マジか。。。早足で探しながらスタート地点の近くまで戻るも見つからず。諦めて戻ると、落としたことに気づいた場所のすぐ近くで発見。
もおぉぉぉぉ。最初にちゃんと探してれば無駄に歩かなくて済んだのに。。余計に7kmも歩きヘトヘトな上、大赤沢集落まではまた長い車道歩き。
もはや楽しむ余裕もなく、ただひたすら歩きました。大赤沢には木工品やお菓子の販売、食堂もある「山源木工」がありますが、入る元気がなく自販機でジュース休憩。
大赤沢を過ぎると山に入り、「牧之通り」を歩きます。もう登り無理。唸りながらどうにか進みました。
この道は『北越雪譜』や『秋山紀行』の著者、鈴木牧之が歩いた古道なのだとか。途中には天保の飢饉で絶えた甘酒村の跡地もあります。こういった地域の歴史はガイドブックで知りました。読まなければ何も知らずに通り過ぎるところでした。
小赤沢
予定より2時間遅れて16時に小赤沢到着。
テントサイトはないので、民宿「出口屋」に素泊まりの予約をしてあります。近くの「楽養館」で温泉と夕飯を済ませる予定が、まさかの定休日。散々計画を練ったのに見落としてました。残念。
出口屋のおかみさんに夕食の相談をすると、「急だから限られたものになるけど、それでよければ」と対応してくださりました。急にもかかわらず、鹿肉や川魚、山菜の天ぷらなど大満足の夕食をいただきました。
さらに明日の予定を話すと、バスの運行状況について調べてくれたり、いろんな助言をいただいて本当にありがたかったです。明日は小赤沢からのバスが無いらしいので、苗場山からは湯沢方面に下ることにしました。
風呂に入って久々の布団で熟睡。
明日はついに苗場山です。
7日目:小赤沢〜苗場山〜祓川登山口
- 天候:晴れ/4〜17℃
- 距離:14.6km
- 参考タイム:8時間51分
- 実際の歩行時間:6時間15分
- 休憩:24分
いよいよ最終日。朝5時半、出口屋を出発。今日も快晴です。
苗場山へ
道路を20分ほど歩いて1合目の大瀬の滝。
山道に入って沢を渡ったり梯子を登ったりしながら、7時に3合目登山口の駐車場。
最終日は疲労感マックスだろうと心配してたけど、朝食にシリアルでなくご飯を食べたからかすごく元気で、どんどん進めます。
積雪を心配していましたが、所々にうっすらあるくらいでした。
山頂へ
ようやく8合目を過ぎると開けて木道歩きとなり、池塘も見え始めました。快晴と絶景が最高のご褒美に感じられてウルッときました。
池塘は凍っています。
景色を堪能しながら歩いて、9時20分、山頂に到着。
長かった。ついに着いた。
静かに達成感が込み上げてきました。
絶景を見渡しながら、余韻に浸りました。長いようであっという間だったなあ。終わっちゃったなあ。
昨日、一昨日の舗装路地獄で嫌になったけれど、ここまできて本当に良かった。良い旅でした。
祓川登山口へ下山
感動を十分噛み締めてから祓川コースを下り、ありがたいことに登山者の方が車に乗せてくれて、道の駅みつまたに到着。ちょうどバスが来て、越後湯沢駅へ。
予定では近くの河川敷で一泊するつもりでしたが、「ゴールしたし、もうテント張りたくない!」となり、13時過ぎの新幹線で一気に飯山駅へ。せっかく節約旅してきたのに贅沢に新幹線。終わったから早く帰って休みたいという気持ちが強かったです。
飯山駅
飯山駅から斑尾山まではコミュニティバスが出ています。バスまで時間があるので食堂を探し、盛りが良いらしい「イナリ食堂」へ。ボリューム満点の五目焼きそば、最高に美味かったです。
チロル前駐車場
駅に戻ってバスに乗り、斑尾高原ホテルで下車。歩いて駐車場へ。
長いようであっという間の一週間の旅が終了。清々しいような寂しいような気持ちで帰路につきました。
信越トレイルスルーハイクを振り返って
信越トレイルは、ブナ林や湿原などの自然はもちろん、歴史ある峠道や集落を巡ることができる素晴らしいトレイルでした。全体を通して整ったトレイルでとても歩きやすかったです。整備されている方々に感謝。
ガイドブック等でトレイルや地域に関する歴史を知っておくと、より深く楽しめると思います。
初めてのロングトレイルで色々な不安がありましたが、装備を見直したり計画を細かく練ったことで大きな問題はなく、満足いく旅になりました。
これから歩く方はお気をつけて、素晴らしいトレイルを楽しんできてください!
最後までお付き合いいただきありがとうございました。